先輩!彼氏にしてください!
第2章 ギトギト青春ライフ
いい匂いが漂っていて…
何より色鮮やかで……何故なのか、お弁当らしからぬオシャレさがある。
「結局ほのか先輩の好みを聞きそびれてしまったので、卵焼きはこっちが甘いの、こっちが甘くないのです。梅干しですが、蜂蜜漬けのものとシソ漬けのもの、すごく酸っぱいもの別で3つ用意しましたので、お好きなのをどうぞ」
「いや……あの……」
「大丈夫です、好みでない味のものは残していただければいいので」
そういうことじゃない。
「これ、後輩くんが…作ったの?」
麻理の質問に、「え? あ、はい」と当然のように谷川くんが返事をする。
ほぉなるほど?
実はイケメンで? 絵の才能もあって、料理も出来ちゃいますってか…?
「そんなんで、ほだされたりしないから」
「え?」
「てか、谷川くんが作ったものとか何が入ってるか分からないし」
「えーーもったいないよ、ほのかー」
麻理の言葉を無視して、私は自分で作ったお弁当を取り出した。
「それに自分で作ったのあるし」
言い切った私は自分のお弁当を開けようとして躊躇う。
この完璧な谷川くんのお弁当の隣で自分のthe普通なお弁当を開くことに抵抗を覚えた。
動きを止めていると、麻理が、「ちょっと、ほのか!」と小声で私に言葉を掛けてきた。
チラと隣の谷川くんも見て、そしてぎょっとした。
綺麗な向日葵を宿す薄い色の瞳を潤ませた谷川くんは、「ハハ」と引き攣った笑いを見せながら私のことをじっとりと見つめてきた。