先輩!彼氏にしてください!
第2章 ギトギト青春ライフ
「そっか…そうですよね。ほのか先輩からしたら、僕はまだキモチワルイ奴なわけで………そんな奴が作ったお弁当なんて、いらないですよね」
「っ………────」
「……てか…、僕約束したって思ってました…また早とちりして勘違いしたんですね」
体は大きいし、イケメン俳優みたいな顔してるくせに、まるで小型犬みたいに目をうるうるさせて…
前髪を切るようにあったのは失敗だったかも知れない。
眼差しが見えてなかったから、ズケズケと言えたけど、この潤んだ瞳を前にすると、判断が鈍ってしまう。
「そういえば…昨日僕が隣にいたらご飯がまずくなるって言ってましたね…。それなのに、ほのか先輩の傍にいたいっていう自分の気持ちを優先させて、また隣に座ってしまい…ホントに僕は───」
「──── グチグチ、ネチネチうるさいなぁ!」
素早くお箸を取り出した私は、谷川くんのお弁当の中に入っている卵焼きをつかんでそのまま食べた。
「………ほのか先輩…」
潤んだ目を擦りながら、ぼーっとしてる谷川くんを見ながら、『お、いしい…』と胸の中で呟き、さらにもう一つ卵焼きを取った。
美味しい。
なにこれ。
何を入れたらこんなに美味しくなるの? てかまき筋もないし、何でこんなに綺麗に焼けるの?
「あ、あの…ほのか先輩…無理しないでください」
横目で再び慌てている谷川くんを見ながら私卵焼きを飲み込んだ。
「無理なんかしてない。食べてあげるから、そうやってグチグチ言って負のオーラ振り撒くのやめてくれる?」
途端にパァッと笑顔を見せた谷川くんは、あるはずもない尻尾を振りながら、元気よく「はい!」と返事をした。