先輩!彼氏にしてください!
第2章 ギトギト青春ライフ
「大丈夫ですかっ……! 怪我してないです!?」
「…………だい、じょうぶ」
「良かったっ……」
ホッと息を吐いている谷川くんを呆然と見つめる。
助けてくれた…と危うくときめきかけたけど、よく考えたら、谷川くんが急に現れなければこんな事故は起きていない訳で…
ハッとした私は顎下の汗を拭いながら、キッと谷川くんを睨みつけた。
「………なんでここにいるの」
「なんでって……ほのか先輩が図書室入っていくのが見えたから…」
「また尾行してたわけ!?」
おかしい。
念入りに周りをチェックしながらここにきたはずなのにっ…
「そ…んなに…見つめないでください」
「は……?」
怒りも合わさってさらに暑くなってきた私は手で自分を仰ぎながら谷川くんを見上げる。
前髪を切ってキラキライケメンになったからって、尾行が許されるわけない。
しかも、質問に答えてないし。
「……ほのか先輩っ…」
「っ……なにしてんのっ!」
急に息を荒げた谷川くんはそのまま再び私のことをぎゅっと抱きしめる。
ただでさえ暑いのに、密着していることでさらに暑くなって額に汗が流れるのが分かった。
「だからっ……そうやって急に抱きついたりするなって言ってるでしょっ……! わぁっ…」
そのままじわりじわりと本棚に追いやられた私は、全く言うことを聞かない谷川くんの息遣いを耳元で聞く。
「だってっ……ほのか先輩が紅らんだ顔で僕を…見つめるからっ…」
断じて見つめていない。
睨んだのだ。