先輩!彼氏にしてください!
第3章 スーパー新会員
「ほのか先輩……」
「なに」
「あの、キス……してもいいですか」
中腰になりながら、また尻尾を振っている谷川くんが誘惑の上目遣いで見つめてきている。
いや、は?
「…………なんで今の流れでそうなったのか意味が分かんないんだけど」
「だって……僕結構頑張ってると思うんですよ。だからたまにはご褒美欲しいなって…」
「いや、別に私お願いしてないし」
頑張ってるのかもしれないけど、それは勝手に谷川くんがやってることだ。
「でも……今日とか、マクロ作ったりしましたよ? 僕」
「それは……」
そうだけど……
「先輩とキスできたら、いくらでもマクロ書きますし、お弁当だって作りますし…なんだってやります!」
忠犬……なのだろうか。
いや、忠犬だったら急に飼い主を襲ったりはしない、か。
片眉を上げながら黙り込んでいると谷川くんはジリジリと寄りながら、私を壁に追いやり「ほのかせんぱぁい…」と甘え声を出している。
「いいじゃないですか……減るもんじゃないし」
「それって、谷川くんが言うことじゃなくない?」
目を細めてそういうと、谷川くんはむぅ…と唸った。
腕を組んではぁ…とため息をつく。
バカバカしいったらありゃしない。
「はい、もう終わり。私帰るから」
「先輩は…っ……」
谷川くんの体をすり抜けようとしたら手首を掴まれてそれを阻まれた。