先輩!彼氏にしてください!
第3章 スーパー新会員
「キス……したことありますか…?」
突然の苦しそうな問いに、押し黙る。
その一言をきっかけに、以前の甘くてそして切ない思い出が蘇る。
一年前のある日のこと。
そういえば、あの時もこの生徒会室だった。
みんなが帰って、2人きりになったあと、彼と──────…
「……あるんですね」
谷川くんの弱々しい声で、私は思い出から現実に戻される。
「……だったらなに。谷川くんには関係な────」
「───── 関係あります!!! 何度も言いますけど、僕は先輩のことが好きなんですよ!?」
あーあ。また泣きそうな顔をしている。
谷川くんは、私の手首をグッと引っ張って私を引き寄せる。
「今ので火がつきました。やっぱりキスします」
「───────」
「全部全部…僕が上書く……っ」
生意気なことを言っている谷川くんに至近距離で見つめられて、体が固まった。
目が綺麗だな、なんて思ってたけど、まつ毛も長いんだなぁとか、そんな呑気なことを思う。
「嫌がらないんですね…っ…本当にしちゃいますよ」
こんなにイケメンで頭も良くて色々と才能もあるみたいだし、普通だったらこんな『苦しそうな』顔しない人生だと思うんだけど…
私の前でも谷川くんはいつも必死で、強引で、それで─────
「っ…もぉ!! 何ですかそのかわいい顔は……っ! 後で絶対に怒らないでくださいよ! かわいすぎる先輩が…っ…悪いんですからっ!」
「んっ………─────」
正直かわせたと思うし、嫌がることもできたと思う。
なのに、気付いたら谷川くんに顎を掴まれてそのまま唇を塞がれていた。