先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─
慌てて先輩に駆け寄ると、先輩は引き攣った笑みを見せた。
「あー…大丈夫大丈夫、ちょっと熱が───」
立ち上がったのと同時に、ふらっと先輩が姿勢を崩す。
「─────── 先輩っ……!」
ギリギリでほのか先輩を抱えると、異様に体が熱くて目を見開く。
倒れないように懸命に支えていると、先輩は、机に手をついてまた引き攣った顔で笑った。
「………だいじょうぶだって…」
「いや…っ……すごい体熱いし……絶対大丈夫じゃないです……っ」
「いいから……」
「良くないです!!! こんな時まで強がらないでください!!!」
強がる先輩に言い聞かせると、先輩は諦めたようにして僕に体を預けた。
「谷川くん………」
「はい……」
「………保健室まで…運んで」
「……お安い御用です」
そうカッコつけた僕は屈むと、そのまま先輩をお姫様抱っこして美術室を出る。
「………ちょっ…とっ……歩けるから、そんな抱えなくていいって」
「静かにしてくださいっ…!!」
先輩に言われてから、鍛え始めておいて良かったとか思いながら、一目散に保健室に向かう。
放課後だし……もう先生はいないかもしれない。
せめて保健室が開いていればいいけど…────