先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─
ほのか先輩にモデルをしてもらってから1週間ほど経った頃。
全力を出せば、もうあと少しで終わってしまうところまで絵は出来上がっていた。
それでも、この時間が惜しくて、ずるいことに僕はわざと時間を掛けて先輩との時間を出来る限り長引かせている。
ほのか先輩は日に日にかわいくなっていくから見ていて飽きない、というか、ずっと見ていたい。
今日なんか、暑いからか少し頬がピンクでいつにも増してかわいい。
はぁ…とうっとりしながらため息を漏らすと、ほのか先輩も少し肩の力を抜いてじっと僕のことを見てきた。
「っ…………」
それだけなのに、息の仕方を忘れてしまうほどに苦しい。
もしかして、またキス……?だろうか。
期待しながらドキドキと胸を高鳴らせていると先輩は「谷川くん……」としっとりとした声で僕の名を呼んだ。
「は、い……」
「………ごめん、あの…」
遠くから先輩の唇をじっと見つめる。
何だか、やっぱり今日のほのか先輩はいつにも増して色っぽくて……エロい。
「どう…しました…?」
「今日は……これで終わりでもいい?」
「え………?」
突然の申し出に、何か気に触ることをしたのかと不安になる。
焦っていると、「なんか…」と先輩が言葉を続けた。
「先輩……?」
少し様子がおかしいように見えて、立ち上がると、先輩が片手で頭を抱えた。
「体調悪くて……」
「えっ……大丈夫ですか」