先輩!彼氏にしてください!
第6章 看病いたします
目を覚ました谷川くんは、ハッとして飛び起きる。
そして、立膝をついて私の方を見ると、「ほのか先輩!」と声を上げて私の両肩を掴んだ。
その大きな声が少し頭に響いて、私は顔を歪ませた。
「あ、ごめんなさい……つい」
しゅんとしてる谷川くんに、「大丈夫」と返事をすると谷川くんは私の両肩を掴んだまま首を傾げて心配そうに私を見つめた。
「体調、どうです? だいぶ良くなりました?」
「うん、そうね。まだ熱はありそうだけど…だいぶ良い」
「良かった…………」
はぁ…と息を吐いて肩を落とした谷川くんは、そのまま立ち上がる。
「お腹空いてます? おかゆあるので出しますよ」
「え……あぁっと…」
「て、いうか喉乾いてますよね? 冷えピタも買ってきたので貼り替えましょうか」
キッチンの方に小走りで向かった谷川くんはテキパキと支度を続けている。
「それにしても、結構広い立派なおうちですよね。びっくりしちゃいました」
「いや……そんなことないよ」
「いやいや、机もベッドもソファーもあるし、高校生の一人暮らしにしては豪華ですよ」
話しながら支度を終えた谷川くんは、飲み物やらお粥やら薬やらを持って戻ってくる。
そして、ベッドのそばの小さなテーブルにそれらを置くと、「失礼します」と言って私のおでこに貼られた冷えピタを外し、新しいものを貼った。