先輩!彼氏にしてください!
第6章 看病いたします
ひんやりとした感覚が広がる。
別に冷えピタ貼るのも、飲み物を飲むのも、食べ物を食べるのも一人で出来るくらいには回復しているのだけど、谷川くんは私に何もやらせまいと全てをやってくれている。
至れり尽くせりとはまさにこの事…だとは思うけど。
「あの……もう、大丈夫だよ」
「え……?」
「何とか一人で出来そうだし。谷川くんも疲れてるでしょ。せっかくの土曜日だし、もう帰っ────」
「───── 疲れてなんかないです」
ムッと顔を顰めた谷川くんに気圧されて、言葉が詰まっていると、谷川くんは空になったコップにポカリを入れた。
「仮に疲れてたとしても……先輩といたいです」
「…………うつるよ」
「………先輩からもらえるなら…菌でもウイルスでも嬉しいです」
キモチワルイ…
ときめき掛けてたから、それを阻まれ少し安心しながら、私はそのまま倒れ込むようにして身を横たえた。
「でも、今風邪引いたら、絵、間に合わないんじゃないの」
「…………いや、大丈夫です」
何故かバツの悪そうな顔をした後頭をかいている。
よくわからないけど……ふぅとため息をつく。
良くなってきたと思ったけど、やっぱりまだ熱があるし体がだるい。
谷川くんにいてもらうのは、悪いことではない、かもしれない。
「………シャワーとか、適当に使っていいから」
「…………え?」
「奥の扉出て右、だから」