先輩!彼氏にしてください!
第7章 天才の苦悩
生徒会の扉を開けると、すでにみんなは部屋の真ん中の大きな机を囲んで座りながら、私のことを見上げた。
「いつもより15分ほど遅かったですね。何かありました? 大丈夫ですか?」
すかさず立ち上がって私の片手をぎゅっと両手で握った谷川くんに、もはや誰も動じない。
呑気なもんだ。
あなたのせいで遅れたんですけど、と思いながらじっと谷川くんを見つめると、谷川くんは少し驚いたようにしながら顔をかすかに紅らめた。
「っ……ちょっと先輩、他の皆さんいるんですからそんな色っぽい目で見つめないでください」
「いや、色っぽさは一切出してないから」
「無自覚ってことですね。はぁ本当、放課後も変わらずかわいいですね。一回キスしていいですか?」
「いいわけないでしょ!」
パッと手を振り解いた私は机の奥の会長の席に腰を下ろす。
「遅れてごめん。ちょっと先生に捕まっちゃって」
「なんかやらかしたのかー?」
ニヤニヤしてる副会長の星野くんの裏で、谷川くんがワナワナと震えている。
「先生って……男ですかっ…?」
「さすがホマレ…そこが気になるんだな」
そう言いながら、星野くんは谷川くんの背中をポンっと叩く。
その向かいで葵ちゃんが、クククと笑っている。