先輩!彼氏にしてください!
第7章 天才の苦悩
「早坂先生だよ」
「…………早坂先生というと美術の先生ですね」
眼鏡をクイとあげながら平井くんがそう答えると何かを察したように谷川くんが「早坂先生……」と呟いた。
「まぁ、なんでもいいけど、会議終わらせてさっさと帰ろうぜ」
星野くんの提案に、私はコクリと頷く。
そして、再び谷川くんを見た。
「谷川くん」
「はい」
「会議終わったらちょっと残って」
「え……? あ、は、はい」
変な風にどもらないでほしい。
何かを期待したような谷川くんは、気味悪くニヤニヤと笑っている。
「放課後……誰もいない生徒会室で…か…」
「ちょっと葵ちゃん、変なこと言わないでくれる?」
「ふへへ。すみません」
「………真面目な話があるの」
そういうと、谷川くんは軽く目を見開いたあと、また犬のようにあるはずもない尻尾を振りながら「分かりました!」と元気よく返事をした。