先輩!彼氏にしてください!
第7章 天才の苦悩
「あの絵のどこがダメなのか……凡人のわたしには分からないけど…、谷川くんが納得いってないっていうなら、早坂先生にもそう伝えて…諦めてもらうから」
静かにそう伝えると、谷川くんはようやく顔を上げてまた怒った表情を見せた。
「て、いうか、さっきから『納得いってない』ってなんの事ですか」
「……え? いや、だって谷川くん、あの絵の出来に満足いってないんでしょ?」
「先輩……絵、直接見ました?」
「み、見たよ」
気圧されながら、返事をすると谷川くんは「だったら!」と声を上げた。
「どこがダメに見えたんですか!? ほのか先輩の言うことを否定したくないですけど…流石にあの絵は完璧です!!! 僕の絵の中で一番の出来。自分で言うのもなんですけど国宝級です」
「……は………?」
「てか、そんなこともより、先輩、自分のこと『凡人』って言いました? 何バカなこと言ってるんですか!! ほのか先輩が凡人って…そんなわけないですよね!?!? そんなに可愛くて美しくて、凛としてて強くて…それでいておっぱいも柔らかくて、体液だって甘くて────」
「──── だぁぁぁぁうるさい!!!」
突然変なことをベラベラと言い出すので慌てて谷川くんの言葉を止める。
いや、てか、こっちこそ、そんなことはよくて…
「とにかく!! 先輩は凡人なんかじゃありません! 今度ほのか先輩のことを凡人呼ばわりしたら、ほのか先輩だろうと許しませんから!!」