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「………………」




えーっと…


私は何を怒られているんだ？？


て、ていうか、谷川くん絵のことサラッと『国宝級』のか言ってなかった？




「………あの…ごめん、結局なんで谷川くんがあの絵をコンクールに出したくないのかが分からないんだけど…」




『凡人だから』と言葉を添えようと思ったけどめんどくさくなりそうだったのでやめた。




「…………完璧すぎるんです」



「え……？」



「あの絵はっ……完璧すぎて、映し出された先輩が本当に輝かしくて……あ、もちろん実物が一番輝いてますけど」



「補足いらないから」



「いります！！！ 一番大事なとこです！！！」




はぁ……


谷川くん相手だと話が脱線しまくってしまって全然前に進まない。


分かったから、と適当にいなすと、「だからダメなんです」と弱々しく谷川くんは呟いた。


ダメだ…………やっぱり理由がよく分からない。


芸術は完璧すぎるのは良しとされないんだろうか……




「もう少し…わかるように説明して」


「だから！ あの絵をコンクールに出したら、人目に触れちゃうじゃないですか！！」


「……え…うん」



それって当たり前なのでは、と思ったところで、谷川くんは私のステイの指令を破って強く抱きついてきた。



「ほのか先輩は僕のものです……っ。これ以上誰かが先輩に魅了されたら困りますっ……」