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仔犬のすてっぷ

第11章 最初の、すてっぷ



「よーしっ!このままあ!!」
「ひやゃあぅ?!」

 急に蒼空が歩き出したので、僕はビックリして小さな悲鳴を上げながら、反射的に彼の首元に飛び付くように抱き着いた。



「………ん?優希??」

はあはあという荒い息遣いが、蒼空には聞こえないように…ぐっ!と息を殺してなんとか気付かれないよう、やり過ごそうとする。


「うんうん★なんか、女の子っぽい、いいリアクションだなあ♫
俺は、そういうの大好きだぜ」


 ドカドカと荒っぽく、僕を抱きかかえたまま歩く蒼空に、ただただ僕は振り落とされないように必死にしがみ着くしか無かった。

(ひゃあぁ?!お、お姫様抱っこって、意外に怖いじゃないかあ!)

「おお、バスタオル、バスタオルっ……っと♪」

 僕を抱きかかえたままなのに、僕の背中を支えている方の手で強引に、椅子に掛けてあったバスタオルをひょいっ!と掴む。
……当然僕にその動きのしわ寄せが来て・・・
落ちてしまうかもしれない恐怖が迫りくる。

(こっ…コレは……ある意味ジェットコースター並みに怖いんじゃ……?)

その証拠に、僕の鼓動はさっき抱きかかえられた時よりも激しくなっていた。


「さ、優希…」

急にふわんっとタテの動きが来たのでさらにしがみつくと、それと同時に柔らかな布の感触がお尻に当たる。


 どうやら、ベッドに座らされたみたいだたった。
とりあえず、落っこちるような恐怖からは解放されて、僕は安堵のため息をついた。



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