
仔犬のすてっぷ
第13章 優希の傷痕
「…関わり合いがある…ってことは、だ」
いつになく真剣な顔で、蒼空が僕を見つめる。
「優希を、嬉しい受け身体質に育ててくれたのが、その方々ってわけぶふおぅ!」
「そっちぢゃねえ!」
僕の脳天唐竹割り空手チョップが、蒼空を直撃して、彼は湯の中に沈没する。
・・・いや、まあ、そっちも当たってはいるけれども……(汗)
言いたい方からは、ハズレ。
「この疵をつけたのが、アケミとリカっていう女性なんだよ。サチお姉ちゃんはまた別で……」
「…ずばわはり、はたばたつた…けほげふは、の、相手……がはっ…てか?」
「口からお湯、全部出してから話しなよ(汗)何言ってんだか分かんないよ」
「ずばり、初体験のお相手が、サチお姉ちゃんって人な訳だ?」
「・・・まあ、そうなるかな?で、その人は、疵には直接は関わってはいないんだ。
むしろ、暴走する二人を止めようとしてくれた」
僕をじっ…と見た蒼空は、
「オンナは母性があって素晴らしい反面、攻撃性もエスカレートしやすいって言うからな…感情的になった時、何やり出すか判らないし」
「……その目は僕を女性的だなぁって感じで見てる?
それとも女性に攻撃されやすそうだな…って見てる?」
「……いや、プラスでサチお姉ちゃんと優希の絡みを見れなかったのはざんね……だー!まてまてまてぇ〜!!」
八極拳の弓引きの構えを見た蒼空があたふたと僕を止めにかかる。
「……真面目に聞く気が無いなら話すのやめるけど…?」
「…茶化して悪い。話の内容がちょっとディープそうだったからな。
少し和ませようとした。ここからはマジに聞くよ」
ふう…と小さくため息をついてから、僕はあの時の事を話し出した・・・。
