
仔犬のすてっぷ
第13章 優希の傷痕
夏休みも後半になり。
小5の僕は、とにかく浮かれていた。
宿題は全てが終わり。
苦手だった水泳も、アケミお姉さんの特訓のおかげでメキメキ上達して、先生にも褒められて。
夜の遊びも…とても気持ち良くて。
特に僕はサチお姉ちゃんに色んな事をされるのが1番気持ち良くて。
いつも優しくて、いちばん大きいのに、可愛らしくって…
彼女がとても喜んでくれている……そんなサチお姉ちゃんを見るのが大好きだった。
リカお姉さんは、何処かぎこちなく…なんだか飽きてきているような感じだったし。
でも、他の遊びには凄く積極的で、面白いお姉さんだ。
アケミお姉さんは、威張って命令する感じは好きにはなれなかったけど、何をするのも1番上手で、なんでも知っていて…好きよりは尊敬出来る、頼れるお姉さんって感じだった。
そして、自分から見てそんな大人の3人との
〈秘密の共有〉
という、蜜の味に…
僕は溺れていたのかもしれない。
夜に四人で集まるようになってから3回目。
サチお姉ちゃんが “あの日” で参加が出来なかった事で、月経というものを知って。
多分、クラスの男子は誰も知らないことを知り、得意げになっていた僕は。
夏休みの登校日の帰りに、たまたま部活で中学校に来ていた夏美お姉さんに久しぶりに出会った。
「優くん、元気だった?夏休み、楽しく過ごせてる?」
体操着姿の夏美お姉さんは、タオルで汗を拭き取りながら木陰で休憩していた。
そこへ上機嫌な僕が通りがかった訳だけど。
「うん♫お姉ちゃん達が遊んでくれるから、楽しいよ」
秘密は…夜のアレの事だけだと思っていた僕は、あっさり話してしまった。
「・・・お姉ちゃん、達?
…優くん、どのお姉ちゃん達と遊んでいるの?」
「アケミお姉さんとリカお姉さんと、サチお姉ちゃんだよ。みんな、優しくて、楽しいんだぁ♫」
夏美お姉さんは、ちょっとだけ何かを考えてから
「…ねえ?優くん、私も遊びに参加しても大丈夫かな?」
と、聞いてきた。
