
仔犬のすてっぷ
第13章 優希の傷痕
「ぼ…僕は、ただ……」
「まずは、ちゃんと謝らんかい!ゴメンナサイも言えねえのか?!」
アケミお姉さんは、咥えていたタバコを指で摘むと、火の付いた方をいきなり、僕の右胸の上……鎖骨の辺りに押し付けた。
「ぅわあ゛あ゛あ゛ぁ、ああ〜〜〜!!!」
熱いより、激しい痛みに、僕は今までに出した事のない声で悲鳴を上げ、身体をよじらせた。
「うん★いい声♡」
リカお姉さんが、頷きながら嘲笑った。
「アニメの主人公の男のコ、敵にやられたら、本当ならこういう声で鳴かなきゃ、つまんないよねぇ?」
「里香ぁ〜…アンタのショタ趣味、歪みまくってんねぇ(汗)
で?優希、まずは謝りな?」
「ごっ…ごめん…な、さい……」
痛くて怖くて……僕は、震えながら謝った。
「…で?なんで、夏美にチクった?答えな!」
そう言うと、アケミはさっきのタバコを捨てて、新しいタバコに火を付けた。
ぷはぁ〜…と、美味しそうに煙を吐き、笑う。
「チクったんじゃなくて……」
「口答えしてんじゃねえよ!!私は、理由を聞いてんだ!!!」
今度は、胸の中心にタバコを押し付ける。
‹じゅっ!»っと、皮膚と肉が焼ける嫌な音が聞こえて、その後から激しい痛みが僕を襲った。
「あ゛あ゛あ゛あああ〜〜!!!い゛、いだいいぃぃ〜!!」
僕が痛さに藻掻く所為で、ガシャガシャと滑車がロープに引かれて、乾いた音を立てた。
「あ〜あ。タバコ、もったいな〜い★」
リカが、笑いながらそんな事を気にしていた。
「ほら、答えな?なんで夏美にチクった?」
「そ、れは…ひっく、だって…ひくっ、な、夏美お姉さんとも、花火が…ひきっ!し、したかったから……」
「アンタ……そんなに夏美が好きなんだ?幸や私達が、あんなに可愛がってあげてたのに?」
「み、みんな…ひっく……仲良くなれたひっく!…ら…いいなって……」
もう、イヤだ。
痛いの、熱いの、嫌だ!
・・・でも、逃げる事は叶わない……。
