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仔犬のすてっぷ

第13章 優希の傷痕


「♫あ〜るはれたぁ、ひ〜るさがりぃ、い〜ちばへつづくみちいぃ〜……」

ガラガラと台車を押しながら、リカとアケミが何かを歌いながら部屋に入って来て……


台車の上には一斗缶があって、その中では炎かチラチラと燃えている。
そこから2本の棒が突き出ていて……


「〽にぃばぁしゃああが、ご〜とごおおと〜、こぉ〜う〜しぃ〜を、のせてぇゆくえうぅ〜♫」

二人は僕の目の前に来て、立ち止まった。

二人が歌っていた曲は、僕でも知ってるやつで。
もう、この後も酷いことが待っているという事しか想像が出来なかった。


「・・・流石に、このまま…はちょっと人として、抵抗あるっつーか……本当にやんの?」
「そーねぇ…私だって、まんま人間にするのはちょっぴり抵抗は、あるわよねぇ…
でも、大丈夫。ちゃあんと準備はしてあるから」

そう言うと、アケミは巾着袋を取出した。
学校の、自転車のヘルメットを入れるやつだ。

アケミは、そこから何かの動物の耳が付いたカチューシャや、モフモフな毛で出来た何かをいくつか取り出して


「じゃ~ん♫お狐様セットぉ〜!」

・・・僕は目が点になった。
この人達…本当に何がしたいんだ?


カラカラカラ……

 僕を吊るしていたロープを少し緩める滑車の音が鳴り響き、今まで立つように吊り下げられていた体勢が、頭が下がって足が上がるように動き出して……
地面に対して、さっきよりは平行な体勢を取らされる形になった。
 手首と足首で吊り下げられる…スカイダイビングして落下中の姿勢みたいになっている僕は、手足が痛くてたまらず声を上げたけど…


「む〜〜っ!んぐ、んぐ、ん〜〜!!」

タオルで口を塞がれているので全然言葉として出てこない。


「あらら〜…なんか、卑猥なポーズだねぇ♡」

リカが、目を細めて、いやらしく笑った。



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