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仔犬のすてっぷ

第15章 嵐の予感


 警察署での聴取を終えた僕等は、とりあえず近くの喫茶店へ移動した。




「週刊誌オードリー・・・ねぇ」

まあ、ソコソコ有名な雑誌で、フォー□スとかのスクープ系雑誌でもあり、色々な情報がウリの情報誌として知られている。

「最近じゃあ、大したスクープ記事を載せられず、売れ行きも他社の雑誌に押されてるみたいだし、アユが言うところの自民党総裁のネタを素っ破抜く事が出来れば・・・確かに形勢逆転するだろうが・・・」

 注文したホットコーヒーをすすりながら森川店長はしかめっ面を崩さないままだ。
多分、苦手な歩美さんを相手に会話をしているから・・・だけでは無い。


「雑誌屋が相手となると面倒なのよね〜。反撃が難しいし、どうしても守り主体になっちゃうし・・・」

 こちらはメロンソーダの上にのっているアイスを、スプーンでほじくりながら、珍しく難しい顔で思案している歩美さんだが・・・今ひとつ考えがまとまらないようで。
会話しながらも、時々会話にならない呟きをブツブツと呟いている。


「ぶつぶつ・・・だいたいうちの蒼空にはむ…そんなネタを……んぐんぐ・・・言うような客が来るわけないのに何考えてんだかまったくブツブツ」

「アユ・・・顔が凄い事になってるから・・・」
「・・・え?あ、あら。変な顔、してた?」

 僕と蒼空はアイスコーヒーを飲みながら、この二人の会話を聞いている。
この二人の決定に、僕等二人の今後が左右される事が分かっているだけに、聞き逃さないようにしなければならない事は理解していたからだ。


しかし・・・


「その色のアイシャドウは、かえって老けて見えるからやめとけ」
「え〜?そーなの??店の子達は似合うって褒めてくれてたのにぃ」
「ナチュラルパープルのカラーのやつ、買ってやっただろ?あれはどうしたよ?」
「あれは・・・だってモリリンが買ってくれた大事なやつだもん♡ここぞって時にしか使わないわよぉ〜」



・・・・・・(汗)

 会話が・・・核心から段々ズレていってるのを黙って聞いているのは、辛いかも・・・(大汗)




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