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仔犬のすてっぷ

第18章 来訪者たち



「…蒼空、彼女達のエスコート、頼むぜ?ま、オレもアキラも出口までは付き合うがな」

 3階まで二人の奈緒ちゃんの友達を連れて上がった潤とアキラが、それぞれのお嬢様の肩を抱きながら親指を立てて笑顔を見せる。


「二人が下へ行かずに上に来た……?
もしかして、下はヤバい事になってんのか?」


「ああ……報告によると、女をエスコートしてるのが3人、外に確認出来たのが5人……監視モニターでカリームが店外チェックした分ではプラス3人……屈強そうなのが来てるらしい。カリームのSPは店内に残ってるが、奴らは基本カリームの護衛だからな…あまり当てに出来ない。
連中の出方次第では店内での乱戦も覚悟しなきゃならない・・・てのが俺の見立てだ」

「…アキラの見立て……外れることを願うがな」



蒼空の顔が、さらに引き締まる。
いつもこの顔なら、カッコいいんだけどなぁ〜…と、僕はつい状況を忘れて見入ってしまいそうになる。



「・・・・・・・・・。」

ふと、隣からの視線を感じてそちらを見ると、奈緒ちゃんと目が合った。


「奈緒ちゃん・・・?ど、どうしたの?」
「今の優ちゃんの眼・・・なんだか……」

・・・ぎくっ

僕が蒼空に見入っていたのが、バレた?



「……二人共、お熱いのは分かるけど、今は後回しにしてくれないか、な?」

 みんなを落ち着かせるためか、ア△ラン・ザラになりきってアキラが冷やかしを入れて…
少しだけ、周りの張り詰めた空気が緩む。



「裏に奴さんの部下らしいのが回り込んでいる可能性はある。モニターで様子を見ながら、出るタイミングを見たほうが良さそうだ」

そう言うと、アキラが手持ちのタブレットの電源を入れた。



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