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仔犬のすてっぷ

第18章 来訪者たち


タブレットに、応接室が映し出された。

そこには、歩美さんと森川店長、そして…


 灰色のスーツを着た、一見その辺にいそうなOL姿の女性が、黒いスーツの出で立ちの…いかにもな姿の男3人を従え、来賓用のソファーに脚を組んで座っている。

この女性に、僕はどことなく見覚えがあった。


「・・・まさか・・・・・・」

その“どことなく”は、タブレットから聞こえた会話からすぐに肯定される事になった。





『・・・ずいぶん物々しい訪問ね、里香』


リカ……里香お姉さん。
髪の色がより明るい茶髪になり、化粧が強くなっている以外は、あの頃とほぼ変わらない。

 この人は・・・桜明っていう人の元で働いていた……のか。

 僕にとって、あまりいい印象は元々無かったとはいえ・・・悪い人の下で知り合いが働いていたというのはいい気はしない。

・・・・・そして、彼女のセリフを聞いた僕はさらに驚かされる事になった。




『そんなに邪険な顔して見ないでくれる?元、友達でしょ?幸…』



・・・・・さ、さち?


『今の私は歩美。獅堂歩美よ。安藤幸って名前はもう、とっくの昔に棄ててるから、その名前で呼ばないで頂戴』


・・・・・・安藤、幸・・・



そうか・・・歩美さんを、どこかで見たことがあると思ったのは、そういう事だったのか・・・。


「………優希…コレって・・・」

僕の過去話を聞いて知っている蒼空も、少なからず動揺しているようだった。

 自分の上司でもあり、親代わりに近い存在だろう歩美さんが、僕の過去に関わったうちの1人だったのだから……。




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