
仔犬のすてっぷ
第18章 来訪者たち
ほんの、数秒の事だった。
画面から、森川店長が消えた・・・と思ったとたん。
『う゛っ?!』『がはっ?!』『ぎぇあ?!』
3つの悶絶する声と、
がた、ごと、どさっ…と、崩れ、倒れる音が聞こえて。
『・・・これ、どうしようか?』
画面の中で、アタッシュケースを肩に担いで森川店長がニヤリと笑っていた。
「・・・ザイード、片付け開始です。間違っても殺さないようにして下さい」
「かしこまりました」
同時に王子様が、付き人に何か指示を出すと、付き人のおじさんが胸元の小さなマイクらしい物に何語か分からない言葉で話しかけた。
・・・・・・って(汗)いや、ちょいまち!
店長殿……今、何しました?
王子様も、今、物騒な事…話してません?
僕・・・なんか展開が早くて、ついて行けてないんですけどっ?!
「あ〜あ・・・終わったな、こりゃ」
「俺達…また、出番は無し……か。やれやれ」
アキラと潤は、深い溜息をついて落胆しているし・・・
「モリリンめ・・・また美味しいところを持っていきやがった……俺、叩かれ損じゃん」
蒼空は愚痴ってるし。
『え?!なに?!ちょっと??何が起きたの?』
あっという間の出来事に、里香は素っ頓狂な声を張り上げた。
…画面の中の里香さんの気持ち・・・僕にも解ります(汗)
『貴女の間違いは3つ。
ひとつは、王子を含む私の子供に手を出そうと考えた事。
2つ目は、モリリンの逆鱗に触れちゃった事。
もうひとつは・・・』
不意に里香の携帯電話が呼び出し音を響かせる。
慌てふためきながら彼女は電話に出たけど
『・・・は?ぜ、ぜんめつ???』
「カリーム様。敵の殲滅を確認しました」
里香の上擦った声と、王子の付き人のオジサンからの報告が同時に聞こえてきた。
「ご苦労様でした☆じゃあ、後の事は任せます」
「御意」
『今でも紛争が起きてるような地域で、侵略させない鉄壁な軍隊を持つ国の、精鋭の中の精鋭から選り抜かれたロイヤルガードを連れてる王子様に手を出そうとした事。
貴女・・・正気じゃないわ♡』
・・・僕は思った。
里香お姉さん・・・お気の毒に・・・(苦笑)
