
仔犬のすてっぷ
第18章 来訪者たち
「ーーー二人って、どんな関係なの?」
僕らの腕をギュッとさらに引き寄せながら、奈緒ちゃんは笑顔のまま訊ねた。
…ゴロゴロゴロゴロ・・・
何処かで雷の鳴る音がする・・・。
嵐は嵐でも、奈緒ちゃんの怒りの嵐の中に飛び込むような事はしたく無い…です(汗)
・・・なのに、蒼空はお約束を優先した。
「AIDSをも恐れない関係さ♡」
ピカカッ!
少女マンガタッチのまま、白目を向いた奈緒ちゃんの背景に、雷槌が走った。
「馬鹿!奈緒ちゃんにそんな冗談は・・・」
「そ…そんな・・・二人が・・・そんな関係だったなんて・・・・・」
「あ、な、奈緒ちゃん?コレは蒼空のいつもの冗談だから・・・」
「え?!あ、あれ?なんか・・・震えてないか?奈緒ちゃん……」
「わ、私というもの(彼女)がいながら…優くんが男色に走るなんて・・・」
ぷるぷるっと震えていた奈緒ちゃんの背景に、雷が落ちてフラッシュバックした。
「私、ソコまで魅力が無いのっ?!」
彼女の影が激しく強調され、可愛い子なだけに、怖さが倍になり・・・
「お、落ち着いて、奈緒ちゃん!」
「冗談だって!
俺達は、今回みたいに色々乗り切って来たから仲良くなっただけだから!」
二人しての必死の説得に、彼女の濃い影がすぅ〜っ…と薄まっていく。
「・・・ホントに?」
ココがチャンスだとばかりに、蒼空は自分達の潔癖さをアピールしようと追い打ちを掛けた。
「俺達は誓うっ!あの、夜空に輝くあの星にっ!俺達は健全であるとっ!!」
蒼空がびしいぃっ!と指し示した先にある夜空は・・・・・
見事なまでに雨の降り出しそうな…
どんよりと淀んだ空であり・・・。
隠し事をしている事を見事なまでに示していた。
・・・しかも、しっかりオマケで稲光が、時々真っ黒な雲の間を走っていたりなんかする。
……ま、まさに、今の僕らにピッタリな空模様だねぇ……蒼空。
・・・どうするの、コレ?(大汗)
