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仔犬のすてっぷ

第19章 過去との再会


「………アナタはもう、覚えていないだろうけどさ…私は一度、アンタに救われてるんだよ」

「・・・・・・?」

明美さんを、救った??
そんな、大した事した覚えは無いけれど……?



「……私は子供の頃は病弱でね。
欠席が多くて一年留年してるんだよ。それが元で、よく1年上の元同級生に虐められてた。
身体を鍛えるために始めた水泳で、体は強くなり
、いいタイムも出せるようになった。
だが、中学校ではそれを面白がらない連中に嫌がらせを受け……しまいにゃ先公からも留年ネタでイヤミ言われてさ……よく、誰も来ないプールの裏で泣いてたよ」


……中学校のプールの裏……?

確か、あそこには…よくカブトムシが来る、クヌギの木が一本だけ生えてて……
よく、夏になるとカブトムシが来ていないか見に行っていたっけ・・・。


「あの日も、タイムが伸び悩んで嫌味を散々言われてさ…しかも、先輩達にイジメを受けて買ったばかりの競技用水着破られて。泣く気力も無くて、塞ぎ込んでたら、アンタが来たんだよ」


・・・お、覚えて…無い。
あ、いや、なんか……もやもやと……してる。


「そこで、アンタは私に声をかけて来た」


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