
仔犬のすてっぷ
第19章 過去との再会
「…あ、あぁっ……」
身体が……変だ。
怠くて・・・・・・熱い。
頭が…視界が靄がかかったみたいに、ぼんやりして・・・
この感じ・・・覚えがある。
「トーマス!この子を二階の部屋に運んで頂戴」
「ハイハイ★お嬢様」
拘束が解かれ、トーマスが僕をヒョイっとお姫様抱っこして担ぎ上げた。
そのまま歩き出し、二階に上がる階段を彼が軽々と登る。
誰かさんにされたのとは段違いな安定感。
だが、今は笑ってる場合では無かった。
(この…身体の感じは……あの時の………)
里香や明美に散々弄られた、小5の時の…
あの、感じ・・・。
そんな事を思い出すうちに、二階の元事務所みたいな部屋に運ばれた僕は、そこに置いてあったパイプベッドに座らされた。
「トーマス、下は任せるわ」
「ヘイヘイ★ごゆっくりどーぞ♡」
「・・・ったく。
いちいち引っ掛かかる台詞を……」
呆れながらトーマスの背中を見送る明美さんのスキを…今なら突ける。
・・・でも、身体は脱力していて力が入らなかった。
「う〜…んんん!むぐむむん!」
部屋の奥からは、聞き覚えのある音が、声にならずに聞こえてくる。
「…な……奈緒…ちゃん………」
椅子に座らされ、柱にロープで拘束された奈緒ちゃんが、それを解こうと賢明に藻掻いていた。
その彼女の元へ、明美はゆっくり歩いて近づくと
「人のモノを取ろうとするなんて、悪い子だ。アンタには後でお仕置きしてあげる。
その前に、この子がアンタのモノにはならない事を教えてあげるわ。じっくり楽しみなさい」
「んむん~!うんむん、むんむむんぐんむ!」
首を振りながら何かを叫んで藻掻く奈緒ちゃんを尻目に、明美はこちらへ歩いてくると、僕のワイシャツのボタンを外し始めた。
「僕は…あなたの……もの…にはむぅ・・・」
僕の抗議の言葉は、明美の唇にあっさり閉ざされて・・・・・・。
