
仔犬のすてっぷ
第22章 Played Fight a Waltz Steps
「ラァァァイジングゥ・フィンガァァァー!!」
相手の頭を鷲掴みにした潤が、トドメのスイッチが入るワードを叫んだ。
「スパァァァークゥ・エェェンドォ!!!」
ずっばあん!!
バッテリー全容量を一気に放出し、放電を終えたガントレットからバッテリーが強制排除され、ごとんっ!と地面に落ちた。
大男は、そのまま気絶して地面に倒れ込み、動かなくなる。
「………1回使う度にこれじゃあなあ……(汗)効率悪くて仕方が無い……」
「しかも、音声入力システム…恥ずかしいな、それ」
「仕方がないだろ?下手なトコロにスイッチ付けたら、衝撃で放電しかねないんだからさ〜…」
「俺のみたいに頑丈にしてもらえば良かったんだよ。コレは暴発しないぜ?」
左腕のガントレットを指さしながらアキラは潤の左腕の小ぶりなガントレットを見た。
「いくらセラミック製とはいえ、俺の戦い方にその大きさの篭手は重くて邪魔なんだよ」
「……あと、何回使えるんだ?スパーリングフィンガー」
「スパーク・フィンガーだ。爽やかなワインみたいに言うな。あと4回だ」
「ま、いざって時は頼むよ、酸っぱ、ingフンガー」
「フランケンがすっぱムーチョ食べてるみたいに言うな!スパーク・フィンガーだって!」
(・・・俺達…こんな漫才野郎達にやられたのか……泣ける)
痺れて動けない大男は、泣きながら……走り去る漫才コンビを見送った。
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「ココが1番人数が多いんだったな………」
工場正面、正門側からゆっくりと歩く蒼空は、同行しているカリームに聞いてみる。
「・・・ええ。だからこそ僕がコチラ側から突入するんです。1番目立ちますから……」
カリームは黄金色の頭飾り、白銀の肩当てに篭手、脚にも白銀のアーマーを着け、鎖帷子の鎧を身に纏い背中に円型のシールド、ショーテル剣納められた鞘を背負った完全剣士スタイルで歩いている。
「・・・街中をそんなカッコで歩いたらコスプレ好きに取り囲まれてシャメ撮られまくるか、警官に取り囲まれて強制連行されるか・・・の二択しかないもんな…(汗)」
「・・・僕は剣だけで良いって言ったんですが……特にラシードがしつこく身に着けろって聞かなくてね(苦笑)」
