
仔犬のすてっぷ
第5章 他人と自分と
「誰が手相を見てくれって頼んだよ?違うだろ?話の流れで解るだろ?」
「………結婚線が二本…いや、さんぼ……」
「そうじゃなくてっ!その合鍵、渡しなさい!」
そう言うと、僕は蒼空の顔をじっ…と見据えた。
冗談じゃない。他人に合鍵握られちゃったら、この先安心出来やしないじゃないか。
「え〜?!やだよ〜!せっかく作った、俺達の住まいの鍵なのに……」
「〈俺達の〉じゃない。ココは僕の家だ」
さらにじと〜っ…と、蒼空を見据えると、彼は渋々ジーパンのポケットから鍵を取り出した。
「あ〜あ…せっかくの、俺の分が……」
肩をがっくりと落とし、うなだれる彼を見て僕は苦笑いするしか無かった。
けど、〈来るな〉と拒んでる訳じゃない。
遊びに来てくれるのが嬉しいのも事実だし。そんな蒼空は弟が出来たみたいで可愛くもある。
「大丈夫。心配しなくても蒼空なら、来た時はちゃんと鍵開けて・・・ん?」
僕は、さっきの彼の言葉の中に妙な違和感を覚えた。
「ねえ、蒼空?さっき、なんて言った?」
「さっき?あ、え〜…結婚せ・・・」
「じゃ、無くてその後っ!」
結婚線の話じゃないっ!(怒)
「せっかくの、おれのぶん……?…あ゛」
「〈俺の、分〉って、まさか……他にも作って、誰かに渡したんかい?!」
自分でも判る。
背中から熱いモノがメラメラと燃え上がっていく感じが。
そんな僕を見る蒼空の顔に、幾筋ものタテ線がさささっと入る。
「誰に、渡した?!」
「え、え〜っとぉ…頼まれたのは、淡海ちゃん、森川店長、事務の横山さんに、経理の田中さん、うちのオーナーに・・・」
をい!!
随分とまた出血大サービス中だな、ウチの鍵は。
特売品ぢゃねえぞ、コラ!!
「バカタレぇ!
とっとと回収してこーいっ!!」
蒼空は、脇目もくれず一目散に部屋を飛び出して行った。
「・・・ホント、バカ…」
「………結婚線が二本…いや、さんぼ……」
「そうじゃなくてっ!その合鍵、渡しなさい!」
そう言うと、僕は蒼空の顔をじっ…と見据えた。
冗談じゃない。他人に合鍵握られちゃったら、この先安心出来やしないじゃないか。
「え〜?!やだよ〜!せっかく作った、俺達の住まいの鍵なのに……」
「〈俺達の〉じゃない。ココは僕の家だ」
さらにじと〜っ…と、蒼空を見据えると、彼は渋々ジーパンのポケットから鍵を取り出した。
「あ〜あ…せっかくの、俺の分が……」
肩をがっくりと落とし、うなだれる彼を見て僕は苦笑いするしか無かった。
けど、〈来るな〉と拒んでる訳じゃない。
遊びに来てくれるのが嬉しいのも事実だし。そんな蒼空は弟が出来たみたいで可愛くもある。
「大丈夫。心配しなくても蒼空なら、来た時はちゃんと鍵開けて・・・ん?」
僕は、さっきの彼の言葉の中に妙な違和感を覚えた。
「ねえ、蒼空?さっき、なんて言った?」
「さっき?あ、え〜…結婚せ・・・」
「じゃ、無くてその後っ!」
結婚線の話じゃないっ!(怒)
「せっかくの、おれのぶん……?…あ゛」
「〈俺の、分〉って、まさか……他にも作って、誰かに渡したんかい?!」
自分でも判る。
背中から熱いモノがメラメラと燃え上がっていく感じが。
そんな僕を見る蒼空の顔に、幾筋ものタテ線がさささっと入る。
「誰に、渡した?!」
「え、え〜っとぉ…頼まれたのは、淡海ちゃん、森川店長、事務の横山さんに、経理の田中さん、うちのオーナーに・・・」
をい!!
随分とまた出血大サービス中だな、ウチの鍵は。
特売品ぢゃねえぞ、コラ!!
「バカタレぇ!
とっとと回収してこーいっ!!」
蒼空は、脇目もくれず一目散に部屋を飛び出して行った。
「・・・ホント、バカ…」
