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仔犬のすてっぷ

第7章 過去と今と…


「バラちゃん、合鍵は?」

 石橋主任が、仕事中にインカムで事務所へ来るように、と連絡を寄越したので、コースのフォローを(遊技台と座席が並ぶ、一区切りをコースと呼ぶ。お店の形状や規模にもよるが、4百台ほどの一般的なお店なら、だいたい8から9コースまであり、それぞれ1コースに1人、担当者がつく)対面の担当者に頼み、事務所へ入ると

すっ…と手を差し出してそう言った。


「・・・生命線も、健康線も問題無しです。金銭面で浪費癖があると出てます」

「そうなんよ〜!プレステ5購入権ダブって当たって、キャンセル効かなくて財産……じゃなくって!」

…おお。この手相ネタ、しばらく使えそうだなぁ(笑)


「鍵。合鍵。皆に配ったんだろ?俺にもプリーズ♡」
「配ってません。てか、作られたものは全部回収しましたよ。普通、自分の部屋の鍵、他人には渡さないでしょう?」

「いや、バラちゃんちなら、皆に需要がある。10畳のリビングは、なかなか溜まり場に最適だしぃ♡」


「うちは、パチ屋の店員の溜まり場じゃありませんて(汗)」

主任まで……(汗)何考えているのやら。


「だいたい、僕の部屋に来て何するってんですかぁ!」
「そりゃあ…寝顔見るとか…添い寝するとか…」
「……アンタもかい(怒)」
「…あ♡寝顔の写真撮って、売るのも有りかな?」

あのね?・・・(大汗)


「そんなもん、だれが欲しがるってんです?」

すると、石橋主任はインカムのスイッチを押して

「業務連絡です。バラちゃんの寝顔写真が欲しい人は連絡を返してくれ」

・・・な?!


『1コース了解』『3コースください』『4コースりょ〜か〜い♡』『5コース、それはいくらで買えますか?』『6コース欲しいなぁ☆』『7コース了解です』『8コース、え?ヌードの写真っスか?』『経理、3枚ください』『林原ぁ!まずは俺によこせ』



・・・を〜い!(滝汗)
今日は従業員の女性率は高い。
高いケド……返事……
出社した全員かいっ?!

(何気に森川店長まで混ざってるしっ!…(汗))

 石橋主任が勝ち誇って胸を張り、僕に向かってVサインをし、ニンマリと笑う。



・・・僕、就職先間違えた?(苦笑)


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