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仔犬のすてっぷ

第8章 お出かけ♪



 開園から一時間。

普通なら、平日でも二十分は待たされるはずなんだけど。
なぜか、待ち時間……ご、5分?!

嗚呼・・・
平日の、人の流れは 諸行無常・・・




 白塗りの木材が骨組みの、
【鉄と木のハイブリッド・コースター】

レールは、インディゴブルー(…かな?)に塗装され、とても美しい創りのこのジェットコースターは、その美しさと裏腹に、世界最恐というキャッチコピーを持ち……


・・・つまり。
僕は乗車、パスしまーす♡


「なにしてんだよ?ほれ、乗った乗った♬」
「嫌だあ〜…乗るの、イヤ・・・」

こういう場合、傍から見れば、ただの仲良しコンビにしか見えないのか……手慣れた係員さんにあれよあれよと案内され・・・


「はーい♪行ってらっしゃいませ〜☆」


…サービス業のプロは恐い(あ、僕もだ)





「かっ、かっかっ……」

地上55m。

頂上は、大変景色が良い……?
さっきから、ゆっくり登ってるだけなのに、足元からミシミシと不快な軋む音がして、そんなもの、見る余裕なんて……


「かぁ〜〜あぁ…」

そのまま傾斜角80度を、最大速度107kmで、一気に、落ちるように下り…


「みぃ〜〜…いぃ〜〜…」

ぐわんぐわんと、アップダウンが視界と感覚をシェイクさせ


「さぁああああぁ〜〜〜〜…」

大きく外側へ向けて曲がるバンクが、車両の外へ体を飛ばされる恐怖感を煽り


「まぁ〜〜ぅっ、のぉ〜〜ぐぅっ…」

ぐゆんぐゆんと下へ落とされそうな急なダウン傾斜を2回も走り抜け


「いぃ〜〜じぃ〜〜わぁ〜〜〜るぅ〜〜ぅ〜〜〜!!」

ぐりんぐりゃんぐりょおん!と、3回?4回??大きなキリモミ回転で、気分はミキサーの中にいるような感覚が襲ってき…


 ☆ ☆ ☆ ぶつっ ☆ ☆ ☆









「・・・・・・・・・」

「うはははっ!いや〜ぁ…サイッコーに、おもしれぇー……あり?」



 僕は薄れた意識の中で、蒼空が興奮して笑っている声だけ聞いていた。





 ・・・、何処の誰だよ?
こんなトンデモナイ乗り物を発明したバカヤローな奴は?!(泣)

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