
仔犬のすてっぷ
第9章 僕等と一緒に
「お〜い、優希ぃ」
頭を撫で撫でされる最中、蒼空がカレーコーナーから声をかけながら近寄ってくる。
「あっち、カレーラーメンがある・・・
何してんだ、アンタ?」
僕の頭を撫でている彼女に、怪訝そうな顔をして蒼空が彼女を睨む。
「あら、お兄さんかしら?しっかりした弟さんね?」
そう言うと、ようやく頭を撫でるのを止めて、彼女は僕の目線まで体を屈めて僕の顔を見た。
「ほら、お兄さん待たせたら悪いから、やっぱりボクが先に注文して?」
ここにきて、ようやく状況を理解した蒼空は
「…ぷっ!あっははははは!」
……大爆笑を始めてくれた(怒)
「ははっ…わりぃ、優希ぃあはははっ」
「何がおかしいんだよっ?!」
「何かおかしいコト言った?私…」
「いや、大丈夫。でも、お姉さん。
彼はこう見えて俺より3つも歳上なんですよ?」
「え゛?……そ、そおなの??」
まじまじと僕を見たお姉さんは、湯気が出そうなほどに顔を真っ赤にした。
「重ね重ねごめんなさいぃ。私ったら、また失礼な事を………」
お姉さんはぺこっぺこっと、ポニーテールが振り回されてぶんぶんと音が出るくらい勢いよく頭を下げた。
「気にしないでください、慣れてますから」
「気にしなくて良いですよ、多分慣れてるでしょうし」
「…わるかったなぁ(怒)」
ひょうひょうとして保護者ぶる蒼空に、僕は軽く脇腹に肘をついた。
見た目はただ、肘をつん!とした様に見えるけど、少しだけ腰を落としながら肘を当てたので、実際はボクシング軽量級のストレートパンチくらいは重みがある。
「うおうっ?!」
流石の蒼空も、一瞬息が出来ないだろう。
……と、思ったけど、蒼空は耐えた。
「ぉお、おそるべしはっきょく……」
「キミ、見た目よりえげつないねぇ…だめだよ?そんなふうに発勁(はっけい)を他人に使っちゃ?」
・・・え?
このヒト…
今、僕が何したのか見て判るの?!
