
仔犬のすてっぷ
第9章 僕等と一緒に
僕がびっくりして彼女を見ると、彼女はニッコリと笑いながら
「私、こう見えても空手かじってるから、なんとなくだけど判るんだ♪」
少しだけ胸を張り、彼女は言った。
「元々子供の頃からやってたんだけど、最近は前より道場に通うのが増えたかな?
護りたいものが……」
「里美せんぱあ〜い☆」
蒼空が来たのとは反対側から、明るい弾んだ声が聞こえて来て…彼女はそちらを向いて笑った。
「…出来たからね♪」
彼女を里美と呼びながらコチラへ駆け寄る女の子は、まるでファッション雑誌から飛び出して来たかのような容姿をしていて……
普段はそういったモノに関心が薄い僕でも、彼女を見た途端、息を飲んでしまった。
ヒュ〜…♪
蒼空も、彼女を見て口笛をならして称賛する。
「スッゲエ美人……」
「スペシャルストロベリー・すとろん……きゃん☆」
「あ゛……」
そのストロベリー・ストロングが、まるでコントで絶対に当てるかのような、狙ったかのような短いストロークを経て蒼空の顔に直撃した。
あまりに予備動作が無いものは、流石の蒼空でも避けられ無かったようだ。
一方のストロベリー・ストロングの君は、躓いてパフェを蒼空にヒットさせた直後、近くのテーブルにべちゃあん!とうつ伏せて顔を強かにぶつけてしまい……
「僕…彼女を護るのに必要なのは、空手じゃない気がするなァ……」
「ドジなのは萌え要素としては必需品なのよ?」
そう言いつつも、里美さんの笑顔は若干引きつっていたのだった。
