
仔犬のすてっぷ
第9章 僕等と一緒に
「結ちゃんて、もしかして、里美さんと特別な間柄なんじゃねえの?」
僕と里美さんとが意気投合している横で、蒼空は結さんの核心に迫っていた。
「あれ?分かる?実は……」
結さんが小指を蒼空の前に差し出すと、その指で里美さんを引っ掛ける仕草をして見せる。
「えっ?!そーなの??そいつはスゲェなぁ。羨ましいぜ」
「でしょお?やっと、ひとつ叶ったんだから♡
…で、蒼空さんはどうなの?ホントは、ただの友人って訳じゃ無いよね?」
……直接的な意味は分からないけど、話の流れで何となく察しはつく。
なんか、変な話してるって事だけは(苦笑)
「実は俺達は………」
ずいっ!と体を前のめりにして、結さんに耳打ちするポーズを取りながら、蒼空は真剣な眼差しで言い切った。
「AIDSすら恐れない関係♡ボゴッ」
…くそっ!間に合わなかった(怒)
僕の左ストレートのスピードでは、やはりイマイチのキレしかない。
「・・・なるほど。
君が彼にツッコミ入れるのに、発勁系を使うの、解る気がするわ……つい、力を入れちゃうって訳じゃなく、痛みで解ってほしいわけね?」
「時々シャレになんない事、言ったりやったりしちゃうんで(汗)」
「何も知らないで注意しようとしてごめんね~」
里美さんは、苦笑いしながら殴られて椅子ごと転んだ蒼空を見た。
「……でもね、どんなことでも言えるコトなんだけど……力は力を呼ぶし、武術は武術を呼ぶって言うから…やっぱり、私は普段から使うのは、オススメはしない…かな?
私馬鹿だから上手く言えないんだけど……大切なモノって、すぐに壊れる事もあるから、要らないモノはなるべく呼び寄せたりしないように、気を付けなきゃ、ね?」
……そう言えば、おじいちゃんも…
そんな事も言って、さらに喧嘩とかにも使わないように戒めていた…っけ?
(喧嘩に使うな、ってトコロは覚えてるんだけど…)
「・・・忠告、覚えておきます…」
僕だって、今の生活、壊したくないし。
