
仔犬のすてっぷ
第10章 JAZZと夢と、その裏に
「写真?」
僕等の浴衣姿を、お店のショーウィンドウに飾りたいから写真を撮らせて欲しいと…店員さんから申し出があって……。
「えっと…、何言ってるのかよく分かんないんですが……(汗)」
言われてから気が付いたけど、なんだか分からないうちに僕らの周りに若干人集りが出来ていた。
「うちの結、目立つからねぇ…前にも似たような事があったのよ……」
里美さんは、ほっぺたをコリコリ指で掻きながら苦笑いしている。
「家から近いショッピングモールの写真館に、うちら二人の写真、飾ってあるわ。
その時も、お店の店員にモデルを頼まれたのよね〜」
「…で?その時の見返りは?
まさかタダでモデルした訳じゃ無いんだろ?」
蒼空は里美さんと店員達を交互に見比べながら、頭をガリガリ描いて聞いた。
「アノ時は写真館だったから……二人が写った写真代がタダになったけど……」
「……分かりました。でしたら、ご協力頂けるのでしたら、皆様にウチの商品をプレゼントさせて頂きます」
「甘い!俺らはモデルじゃないけど、かと言ってまったくのシロートでも無いぜ?」
ニカッ☆と笑った蒼空は、
「こっちのお嬢は、元はモデルだし、俺ら二人はサービスにはウルサイ連中相手に文句を付けさせねぇ、プロだ。ちゃんとした報酬が対価に無いんなら……」
「…いいわ。面白いお客様ね」
お店の奥から、このお店の店長らしい人がゆっくり歩いてコチラに近づく。
まだ若そうだけど、他の店長達との雰囲気が全く違っていて逆に近寄り難い。
「撮影で使用した浴衣や小道具…写真に写った物はすべて差し上げましょう。その代わり、普通のモデル並みにポーズは要求させて貰うけど…いいかしら?」
「交渉、成立☆だな♪」
オイオイ(汗)
そんな啖呵を切って大丈夫なのか?
