
仔犬のすてっぷ
第10章 JAZZと夢と、その裏に
「優希くんは・・・そういうの、どう思うのかな?不自然?それとも気持ち悪い?」
う〜ん…僕はレズに対しては特には何も感じなかったんだけど・・・?
「多分、今日お別れしたら、あなた達とはもう会えなくなるかも、だから……正直な話がしたいの……」
ああ、そうだ。
今日はほぼ一日一緒だったけど……次はあるかどうかは分からないんだ………。
「正直に、言うね?
僕は、あなた達が羨ましいと思ってる」
あれ…僕……何を言ってるんだ?
「包み隠さず、裸で付き合えて、お互いを分かり合える……それって、正直羨ましいよ」
予想外の答えだったのか、結さんの目が少し見開かれた。
僕自身、どうして彼女にこんな事を言い出したのか……解らないでいる。
「僕ね…物凄く受け身体質で……過去にそれが原因で気持ち悪がられて。
子供の頃、歳上の女性達に悪戯されて、女性恐怖症にはならなかった代わりに、そんな体質にされちゃったんだ。
その時、つけられた痣も残ってて……」
・・・そうか。
僕は、他人に話せるかもしれない、機会が来たんだと。
種類は違うけど、似たような悩みを持つ彼女にカミングアウトされた事で……
僕は僕で後ろめたい、誰にも話せなかった事を彼女なら理解してくれるんじゃないかと……そう、頭の中で感じたからだ。
「だから、誰にも裸は見せられないんだ」
