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ぼんやりお姉さんと狼少年

第36章 役立たずな言葉、饒舌な体*



完全に別たれない程度に引いては、入り口の襞を蹂躙して、奥底を潰される。
固定して開かれた足の間に、ズン、ズンっズン、ズンと打ち付けてくる腰が無機質な玩具で責め立てられるように激しく止まなくて。


「ん──…っ!……うッ、んっ!」


もっと好きにしていい。

すべてを知りたい。

そんな思いで彼の首根に腕を回してしがみつく。


「……っ、っ…ッっ…んく…っ」



─────なのに、なぜだろう?


それに応えて潤ってきたぬめりは、今度は純粋な悦楽を私に運んでくる。

体内を犯すいきり立った男の剛直がこれ幸いとでもいうように、ますます奥深い結合を求め、ズリュズリュと正常な思考のたがを外してく。


「あ、いやっ…や、んあっ! あっ!!」


表面の肌を打って、それからグチャグチャに混ざり合う。
その境目が段々と曖昧になって、それを追うことに気を紛らわせようとすると、あっという間に渦巻く衝動に呑まれそうになる。


「こんなのでも気持ちいいの?」


やや上ずって耳たぶにつけられた声は高ぶっているのか、もしくは単に、吐息の間に呆れられている口調にも聞こえた。


二つの音に揺さぶられていたそれが、明確に体の角度に沿った上下の動きに変わった。

そのせいでなんの抵抗もなくただ押し上げられた剛直に小さく悲鳴をあげた。
最奥を穿たれる、そのたびに彼の胸に爪を立て、仰け反って喘ぐ。


「あぐっ、ひあっ! うぅっ…っ! 」


溢れたらもう下に落ちるしか行き場のない愛液が、混ざり合う瞬間に秘裂の隙間からそのまま垂れて、ぱたぱたと床に滴ってく。


「や、いや! こ…牙…も!! しない、でっ…!」


感じたいわけじゃない。

刹那のこの行為に流されて、自分の不安や臆病さを誤魔化すためでもなかった。




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