ぼんやりお姉さんと狼少年
第36章 役立たずな言葉、饒舌な体*
「それで、その辺の男のコレ突っ込まれたら、そうやって嬉しそうにギュウギュウ締め付けんの?」
耳に吹きかけられる声が直接心を刺してくる。
そうじゃない。
だって深いところを小刻みに責めてくる、そんな風に動かれたら。
心とは裏腹に勝手に体が反応する、それはまるで私はそうなのだと彼に伝えてるようで。
「あ、いやっ…」
震えながら身動ぎをしようとした私の体をぐっと引き寄せてくる。
「琥…牙。 やあ…ッ…止め…違、う」
「で、おれにも同じことして欲しい? 他の女とのセックスに馬鹿みたいに溺れて、こないだみたいに一晩中抱いていい?」
考えたことなんてなかった。
彼にはずっとずっと私だけなのだと。
一片の疑いもなくそう思っていた私の脳裏の彼に女性の影が重なる。
私の知らない弧牙に、そんなことも有り得るのだとしたら。
「やっ…やだっ…ッ! だめえっ…わたしのっ!」
そう想像すると耐えられない気持ちになった。
「お願い……やだ、よ。 琥牙しか、いやなの…」
触れるのも触れられるのも、私じゃなきゃいやだ。
それが当たり前みたいに思ってた。
でも、違うの?
こんな私じゃそう思ったら駄目なの?