ぼんやりお姉さんと狼少年
第38章 不倫、バトル、なんで恋? 前編
「だって現実問題、琥牙さんのチンコが小指っくらいだったら伴侶にしてた?」
そんな質問に馬鹿馬鹿しいと切ってスルーしようとするが、ごく真面目な顔でそう聞かれると。
「………どうかな」
思わず腕組みをして、考え込んだ私。
確か、する前に好きになってたとは思うんだけど。
「逆に有り得ない馬並みだったら? 実質レスでしょそんなん」
「そこは……ほら。 例えば手とか、努力でさ」
それだけじゃないと思う、それは本心。
そもそもそんな行為は気持ちがあるからこそだし。
「それマジ? 一生相手に努力強いるの? どっちも悪くないのに。 その方が不自然なんじゃね?」
「でも結局、愛情だと思うし……」
「セックスなしで、ホントに? 経験則?」
「…………」
やけに絡むわね。
行為と好意は別口であると言い切る男、二ノ宮くん。
私とは考え方が根本的に違う訳だけど、そう強く言われると困ってしまう。
最後までしなくっても、マッサージとか、パートナーとのスキンシップは色々あるわけで。
だけどこんなのは、男性からしたら考えられないものだろうか。
そして毎回そんな感じだったら、恋人というより家族に近くなるのかなあ?
終業時刻も過ぎた18時半。
客観的に見て、オフィス内のこんな暗い所で男女がコソコソしてたら怪しいだろう。
しかもしてる会話の中身のなさったら。
そう思いながら、資料が放り込まれたダンボールを背景に佇む、就活中の大学生みたいな二ノ宮くんを改めて眺める。
それでなんでこんなことになってるかというと、時はつい15分前のこと。