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ぼんやりお姉さんと狼少年

第38章 不倫、バトル、なんで恋? 前編


パンッパンッパンッと性交真っ只中の音が、断続的にこちらの部屋にまで響いてくる。

巨根は音もでかいのか?

………しかし私、今後あの課長の顔まともに見れる自信ないわ。
こんなのはいつもなら赤面もののアワアワ状況だろうけれども、嫌ってほどの倫理観に押され、私は至極冷静だった。


『あううっ!! ダメよっ、イクイクっ…イっくう!』


のちに切羽詰まったような高い声……それが止んでしんとしたあと、小声で話を始めたようだ。


『課長休んでたら? 先にオレ出るね』


その間約4分。

ちょっと早いよ? 二ノ宮くん。


さておき……今外に出たら、彼を捕まえられるな、と私は考えた。

それでガチャリと隣の扉が開いた音が聞こえ、私も後に続こうとドアノブに手をかけたとき、それがぐるっと反対に回る。
開いたドアの隙間から、鼻と口に人差し指を当てた二ノ宮くんがこそっとこちら側の部屋に入ってきた。


彼に続いてブラインドの閉まっている少しだけ明るい窓際に寄り、きっと私は呆れた顔をしていたと思う。


「何やってるの?」

「そっちこそ覗きみたいな真似。 オレを誤魔化せるわけないっしょ。 どういう風の吹き回し?」


あんなの聞きたくなかったわよ。

今の彼の表情に、気まずそうな様子はない。


「知人がこんな時間にあんな場所入ってったら気になるよ」


パッと見いつもの二ノ宮くんでホッとした。

ガチ気合い入った不倫だったら洒落になんない。




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