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ぼんやりお姉さんと狼少年

第43章 私たちの牙 後編



「伯斗。 あと頼んでいい?」

「お任せを」

「あ、いひゃっ…」


濡れてた頬に沿わされた指に、今更ながらずきんと痛みを感じた私に琥牙が苦笑する。


「ほらやっぱり。 意地っ張りにはお仕置だね」

「きゃっ!」


肩に抱えあげられた私がなすすべも無く連れ去られようとしている────────……これ、いつものなし崩し的なパターンだ。

でも、10回位謝ってくれたし、いいのかな?


「浩二くん。 今晩は真弥借りるね」


取り残される浩二に一応は断りを入れ、大股で歩く琥牙が里の敷地に入り、内部の階段を降り始めた。

タン、タン、タン、タンタン。
軽快にそれを降りる途中に、おい。 と遠くから呼び止める浩二の声が聞こえた。


「浩二! オレ、里ん中案内するぜ!! 来いよ」

「浩二どの。 後ほど、里特産の酒などどうです? 朱璃様と皆さんで。 二ノ宮甥……保どのも、治療も兼ねて。 ソレは後ほど、応急処置をして一晩土間にでも括りつけておきますゆえ」


そしてそのあとに、浮かれたみんなの会話も。


「オレも?」

「俺も………いいのか?」


「是非とも─────────…」




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