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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

チョットと名乗る男は、額から赤い汁を流しはじめた。

「ちょ、チョットって人! あんた、頭から血が出てるじゃない! ケガしてる?」

『あまりに悲しくて泣いております』

「それ、まさかの涙っ!? 心配と恐怖とホラーが入り交じって、数ポイント差でホラーが勝ってるんですけどぉーっ!?」

驚いた拍子に耳に、はめていたイヤホンが落ちた。

「あら、落ちたわ。さっき飛ばされた時に落とさなくて良かったわ」と光邦はイヤホンを拾った。

「׶♪♂♀§※〒⇨」

「は?」

「§¶♂♪@*★≧∞ℵ」

「なに言ってるのよ、ちゃんと喋りなさいよ」

光邦はイヤホンを耳にはめた。

『……ずっとずっと探し続けてて、ようやく』

ちゃんと言葉を発している。

「……うそぉ~」と光邦はイヤホンを取る。

「ℵ♂≧★*@⇨¶〒」

イヤホンをはめる。

『なにが起こったか、私が説明してほしいくらいです』

光邦は持っていた携帯を見る。

「え、まさかアプリぃっ!? え、アプリがこいつの言葉を翻訳してる? ちょっと待て、いろいろな意味含めて、スゲェーーーっ!?」

光邦は血走った目で、チョットを見つける。

(待て……こいつ、ひょっとして宇宙人ちゃうの? 私をさらって頭に小さいチップ埋めて捨てられる? アプリはAIやから、宇宙人の言葉を理解した? すごすぎるやろ!)

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