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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

相手が宇宙人だったとすれば、自分はさらわれた?

光邦は、最悪の事態を想像した。

(まさか、腹から股間にかけてグルリと円形に切り口を入れられ、一滴残らず血を抜かれたら、草村に捨てられちゃうんじゃないの? そうなる前になんとかしないと……)

チョットは一人、なんだかんだと語りながら、運良く後ろを向いた。

(こいつ、下手したらまた私を空に放り出すに決まっている。どうやっているかわからないけど、力だけなら勝てそうな気がするけど……)

だが、そうは思っても相手は宇宙人。場合によっては返り討ちをくらうこともあり得る。

「ちょっと……チョットさんよ」

自分で呼んでいながら、吹き出しそうになった。

『どういたしました、アーナル様』

「いや、そこがおかしいのよ。なぜ、私の名前を知っているの? なぜ私なの? これからどうするつもりなの? 全部教えていただけるかしら?」

『いまそれを話しているところですが……』

聞いてなかった。

「いや、あのね。さっき、私、この部屋から飛ばされたじゃない? あれ、どうやってるの? それに、いまいるこの場所はなに?」

『床が全体に瞬時にオープンいたします。アーナル様、この場所をお忘れなんて嘆かわし。あなたが、産まれた時にいた宇宙船ではございませんか』

「いや、いろいろあって一つにまとまった理解ができないけど、まず、あんたは私よりはるかに年上だってことがわかったわ」

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