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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第1章 ちょっと、待って!

『アーナル様、あなたはおそらく記憶を無くされているのです。時間はかかると思いますが、ゆっくりと思い出して下さい』

「いや、記憶とか言う前に、私地球人なの。日本人なのよ。あなたの顔なんか知らないし。もう、帰らせてよ」

『いま、帰ってるではありませんか』

話が通じない。

『アーナル様、こちらをご覧ください』

チョットがなにもない空間を指でなぞると、なにやら画面のようなものが現れた。

『この窓をご覧ください。あれが我々の住む星でございます』

黒い空間の中に、うっすらと黄色い星が画面から見える。

「それ、窓なの……てか、あれが星なんだ……て、いま宇宙にいるの!?」

『なにをおっしゃってるんですか、しっかりしてくださいよ。ここは宇宙船だと言いましたよ。そして、あなたはここで産まれて、ここで少しの間、育ったのです』

「やめてよ、もとから頭悪いのに、おかしくなっちゃう」

そう言って携帯電話を見る。助けを呼ぼうとしたのだ。

まだ、アプリは生きているようだが、アンテナは立っておらず、圏外となっていた。

このアプリがあるおかげで、この宇宙人と話せるようだ。これだけは切るわけにはいかない。

ふと、なにか違和感を感じた。

(あれ? 控室でハゲの地球儀が、私を呼んでいるって、伝えにきたわよね。あの子、アプリ使ったのかしら?)

一応、気になるので聞いてみた。

「あのさ、私があなたに会う前、誰かに話しかけなかった?」

『あ、いましたね。私とよく似た頭の人が。彼は数年前から地球に偵察にきている、我々の仲間です』

それを聞いて、光邦は頭を抱えて発狂した。

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