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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第6章 トリセンナシ国

門番右側は勇者に駆け寄り、「ヒップ様、大丈夫ですか、ヒップ様!」と声をかけるが、尻をプルプルと震わすだけでなにも言わない。

かなりの精神的なショックを、尻から受けたに違いない。

門番左側は、光邦に声をかける。

「おい、そこの者、まさか、ヒップ様を辱めたのはお前ではなかろうな」

光邦は俯いたまま、「あの男、ヒップっていうのね。美味しくいただきました」

「な、なに?」

「ちょっと、上の方にお話ししたいわね」

光邦は振り返った。

「ああっ!」門番左側は、驚きの声を上げる。

「た、た、ターキー国のアーナル……」

「あら、私有名人? 嬉しいわ」

「と、いうことは……ヒップ様は……」

「大丈夫じゃ! まだ、息はある!」と門番右側がこたえた。

なぜトドメを刺さなかった……そんな疑問が二人の門番の心に残る。

この戦争により、国の代表となる勇者の死は、国の存続に大きな影響を及ぼす。

光邦は、剣を手にし、その剣先で倒れたヒップの尻を示した。

「私は殺し合いに来たんじゃないの。誰だって命は大事、どんなかたちであれ、あんな風になっちゃったら、もう戦えないでしょ。だから、交渉に来たの」

「そう、だから、私も国代表として話し合いにきた」とチョットも口を出す。

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