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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第6章 トリセンナシ国

長髪の高齢男性も頭を下げる。

「はじめまして、副大臣のマテと申します」

「だから、あなたなら大丈夫なのよ」

「なにがですか?」マテは何度も小刻みに首を傾げた。

チョットは二人に頭を深く下げる。

「突然の訪問、失礼しました。こちらのヒップと呼ばれる勇者様ですが、ご安心ください。生きております」

「生きているのに、あなた方はどのように入ってきたのですか? わが国トップの勇者を相手になにをされたのですか?」

シツレは少し口を強くした。

「いや、そんな言い方しないでよ、また疼くじゃない」

光邦は股間を押さえる。

「さっきから体をよじらせている、この化け物はなんだ!? こいつ本当にアーナルか?」

「シツレさん、とりあえずこの生物は視野に入れないで、私と話しましょう」

「なんか嫌でも視界に入ってくるんだが……」

すると、横で見ていたマテが、丁寧に光邦を遠ざけた。

「シツレさん、我々だけでも友好的になりませんか。いくら戦争で国代表の勇者に戦ってもらうとはいえ、彼らも大事な命。負ければもう戻ってはこれません」

「私は国王の意志を尊重しております。勇者、つまり国が負ければ国王もこの世を去るのです。国が一つにまとまれば、ナナミーで捕虜となっている若者も文句はあるまい」

「若者は、殺し合いを望んではいません」

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