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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第6章 トリセンナシ国

「殺し合いを望まないとは言うが、国王同士の話し合いは望めない。それに、チョットさん、あなたは他国とはいえ立場は副大臣。私に対等に話を持ちかけるなら、大臣をよこすべきだ」シツレはそう指摘する。

「大臣は死去して、すでにおらぬゆえ、私はまだ副大臣ではあるが、のちに次期大臣になることは決まっております。ですから、今は国の政治的な代表という立場です」

「なるほど、しかし、この戦争で、亡くなるのは勇者三名、そして負けた勇者の国の国王が責任を持って自害するため、合わせるとたった六名。我々には被害は及びません」

「ですが、勇者一人も尊い命。国王一人でも同じ。国王同士が無理ならば、我々が説得しなければなりません」

「ならば、自国国王を説得出来たと申すのか」

「……」

チョットは、なにも言えなかった。

遠くから見ている光邦は、副大臣のマテと話し込んでいた。

「ねぇ、あの二人はなにを話してるのよ」

「ターキーの勇者様は、呑気でございますな。国をかけた殺し合いをしている真っ最中ですぞ」

「私関係ないわよ。でも、なんで負けたら死ななきゃならないの? 話し合いとか、どちらかが折れたら丸くおさまる話じゃないの」

この二人の間でも話し合いは行われていた。

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