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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第6章 トリセンナシ国

「そんなのどうだっていいわよ」

光邦が強い口調で返す。

「その者はたしか、アーナルと呼ばれるターキーの勇者だな。なにか気に入らないことでも?」

「私のこともどうだっていい。ただね、これはターキーの国王にも言えることだけど、いくら他国で敵として見てる相手とはいえさ、こうして代表として挨拶に訪れてきてるわけでしょ。あんたもそこに後ろ向いてふんぞり返ってないで、礼儀として前に出て話したらどうなのよ」と腕を組んでスタスタと歩き出す。

「待ってください」

チョットが光邦のジャケットの裾を掴む。

「なによ、ちゃんと正面から誠意を持って話しにいくのよ」

「違います。国王は、身を守るために姿は隠しておるのです」

「どういうことよ」

「国王は、最も命を狙われやすい存在なのです。ですから、誰にも知られないように、国王だということを隠して、外に出る場合でも普通の庶民に徹して買い物をされたりします」

「そうなの? なんか、息がつまるわね。だけど、ターキーの国王はやたら攻撃的だったわよ」

「あれは私がなんとかして姿を見ようとしたから、激怒されまして、それから誰も信用されてないようで」

「それ、お前のせいやないか!」

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