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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第6章 トリセンナシ国

それは、トリセンナシ国の勇者、「ヒップ」だった。

だが、光邦は、

「あら、あなたどなた?」

忘れていた。

ヒップは、腰にぶら下がった剣を引き抜いた。

「貴様は、ターキーのアーナル……よくのうのうと我が国の土を踏めるものだな。しかも、しかも俺がいない間に……」

光邦は、あぁ~っと思い出した。

「土って、これ立派なアスファルトじゃないの。てか、あなた尻の穴燃やして倒れていたじゃない」

「ふらりと来て、ケツに熱い攻撃をしてきた悪魔がいたんだ。不意をくらったが、見つけたら容赦はしない」

「じゃ、頑張って見つけてください。私たち、これから帰るので、ごきげんよう」

と光邦は、ヒップの左側を通り過ぎようとスタスタと足を進めた。

「待て」と光邦の目の前に、剣が光る。

迫った剣の鋭い刃が、かすかに鼻先に触れた。

チクリとした痛みに、「いたっ!」と大袈裟に叫ぶ。

「なにすんのよ! 見てよ、ちょっと血が出てるじゃないのよ」

「今は戦争中だ。このままこの国から出られると思ったか。ターキーとトリセンナシの代表同士、勝負しようじゃないか」

ヒップは、剣を持ち直した。

「待ってよ、勝負って、どっちかが死ぬまでやるんでしょ。嫌だわ」

「死んでも後から国王が、一緒に来てくれるだろ」

「いやよ、あんな国王と一緒にいるの」

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