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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

「かもしれないですね。でも、見付けても放っておきましょう。命は奪いたくありませんから」

「でも、昔からそうしてる習わしじゃないの?」

「時代は新しくなっていきます。平和な方向へ向かわなくてはなりません」

「そうね」

二人は途中、岩の切れ目から湧き出した水を口にし、喉を潤すと小休憩を挟みながら歩き出した。

山の頂上にくると、目指す方向が見下ろせた。

山の下は森が続き、その向こう側には大きな川が流れる。

「近いといっても、まだまだあるじゃない。どうなってるのよ」

「一直線で言えば、今までよりは近いんです。この山を越えれば、後はすんなりいけます」

「お前にはあの川が見えんのか。あの流れの川が。それに、あの真ん中あたりに島があるわよ。あそこに一度渡らないといけないわね」

「あの島がガシ国です」

「えっ!」

二人はゆっくりと山を下る。

山を下ると、すぐに樹海のような森が広がる。

だが、その頃には空は群青色に広がり、チラチラと星が見える。

「光邦、あの青く光る星が、あなたの故郷、地球ですよ」

「まさか、こういうかたちでふる里を見るなんて思ってもみなかったわよ」

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