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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

樹海の森は、漆黒の闇と化し、異様な空気が漂っていた。

「あらごめんなさい、いま音無しのラッパ吹いちゃった」

「私は思いきり深呼吸しましたよ」

このまま、樹海に入るのは危険。

しかも、この樹海に棲息するのは……、

「光邦、この樹海には、ウラユさんところで私に迫ってきた、ブラックメーバがいます。また、さらにその上をいく、人も襲いかねないブルーメーバがいます。気を付けてください」

「名前言われてもどんなのか忘れたわよ」

ブラックメーバは、地球の生物でいうところの単細胞微生物が巨大化したものだ。

ただ、熱に弱く、夏場は涼しい場所に棲息する。

「そんな知識覚えたって、なんの役にもたたないわよ。どうするの? こんなところで野宿なんてできないわよ」

「山や森には国籍を持たない人種が、離れた小屋に住んでいたりするものですが、ここにはありませんね」

「いや、でもちょっと待って……あれは?」

光邦は闇の向こうに、小さなゴマほどの光を見付けた。

「光ってますね。人が生活する明かりか、それとも夜行性生物の目か、今の状態では判断出来ません」

「これは、こっちから向かわなきゃいけないようね」

「注意しましょう」

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