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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

三回ノックすると、中からカチャリと音がした。

扉がゆっくり内側に開かれる。

中から顔を出したのは、見た目五十代の男性だった。

「……人か?」

男性は、ホッとした表情を見せる。

光邦は体についた、細かいブルーメーバを取りつつ頭を下げる。

「すいません、森に迷いまして、夜もふけて危険なのでお邪魔でなければ、部屋の隅にでも一晩だけ置いていただけないかなと……」と光邦がお願いすると、

「それはそれは……まあ、よかったらお入り下さい」と快く入れてくれた。

だが、後ろに隠れていたチョットが顔を出すと……、

「待った……あんたもか?」と表情を変える。

「はい、付き人です。ターキー国の副大臣、チョットと申します。では、失礼いたします」と入ろうとする。

「待った。そんな高貴な方が入るような立派なものではないぞ。それにあの方が一人だけだと思ったから、許したんだ。なんにもいいおもてなしは出来ないぞ」

なぜか、強い口調で言う。

「いきなりたずねてきたのは申し訳ございません。ただ、二人で旅をしているものですから……」

男性は、ふぅ~とため息をつく。

「一晩だけだ」

「ありがとうございます」

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